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2005/05/11

大量の放射性廃棄物という問題

寿命を迎えた原子力発電所を廃止する時代が、間近に迫ってきた。そのための安全対策は十分に整っているのだろうか。原子力安全委員会の今年の白書は、原子力施設の廃止問題に焦点を当てている。安全策の現状を国民に理解してもらうのが目的だ。

国内に発電用原子炉は53基ある。このうち運転開始から今年で35年となるのは2基、30年を超えたものは5基ある。 国や電力会社は、安全性が確保できる範囲で今後も運転を続ける方針だ。しかし、安全性を確保するための経費や効率が見合わなくなれば、廃炉になる。この問題を、白書は初めて大きく取り上げた。日本は、基幹電源として原子力を利用してきた。廃炉時代の到来は避けられない以上、当然だろう。

廃炉の作業は手間がかかる。作業の安全確保はもちろん、膨大な廃棄物が出て来る。平均的な110万キロ・ワット程度の原子炉で約54万トンと試算されている。これまでにも、試験、研究用の原子炉が解体されたことはあるが、規模が大きく異なる。とりわけ懸念されるのが、膨大な量の廃棄物だ。このうち93%は放射性廃棄物ではないが、残り7%は、原子炉等規制法により厳重な管理が求められる。放射性物質による汚染の可能性などがあるためだ。だが、その残り7%の約7割、2・8万トンは実際には極めて汚染が少ない。通常の廃棄物として扱えることが国際的にも認められている。規制の対象から外すことが適切と、白書も説明している。

こうした原子力安全委員会の結論を踏まえ、すでに原子炉等規制法の改正案が今国会に提出されている。問題は、この新たな制度が国民に理解されるかどうかだ。原子力発電所の廃棄物は放射能汚染のイメージが強い。通常の廃棄物となればリサイクル利用も可能だが、受け入れられない恐れもある。同じ原子力の廃棄物では、高レベル放射性廃棄物の処分候補地の募集が2002年から始まっている。だが、各地で理解が得られず、まだ応募はない。原子力の安全への不信が膨らんでいるためだ。ここ数年は原子力を巡るトラブルが続いた。昨年は、関西電力の配管損傷事故で11人が死傷した。むろん事業者の責任は重いが、安全規制体制のほころびが最大の問題だ。白書でも、松浦祥次郎・委員長が「慚愧(ざんき)と悔恨の念に堪えない」と反省している。近い将来の廃炉時代に備えるには、やはり信頼を築くことが欠かせない。原子力安全委員会は、そのための具体策を早急に検討する必要がある。

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