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2006/06/14

危機的なお産現場の実態

◆分娩施設わずか3千カ所、産科医は8千人に減 学会調査
 
日本全国で実際に出産できる病院・診療所は3063カ所、赤ちゃんを取り上げる医師は7985人に急減している――14日、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長、1万6000人)の調べで、危機的なお産現場の実態が初めて明らかになった。産科・産婦人科を掲げる施設・医師を調べる従来の厚生労働省調査と比べ、施設数で半分、医師数で4分の3にすぎない。過酷な勤務や訴訟の増加などから、お産をやめて、婦人科や不妊治療専門に衣替えする施設・医師が増加しているためだ。同省の産科医療対策に見直しを迫る内容となっている。

厚労省調査では、02年に産婦人科・産科を掲げていた医療施設は計6398カ所、04年に主な診療科を産婦人科・産科としていた医師は1万594人。だが、この数字が現場の実感とかけ離れているとして、同学会が昨年11月、実態調査を各都道府県の地方部会長に呼びかけた。新生児が受ける先天性代謝異常検査の検体を提出している医療施設名などから、同12月1日現在で分娩(ぶんべん)を扱っていると判断できる施設を割り出した。14日までに全都道府県のうち東京都内4区(中央、文京、豊島、板橋)を除くすべてから回答があった。4区分は、日本産婦人科医会の会員登録などを手がかりに推定値を計上した。

それによると、分娩取り扱い施設数は病院(20床以上)が1280カ所、診療所(19床以下)が1783カ所。02年の同省調査と比べると、病院が470カ所、診療所が2865カ所少ない。

常勤医師数は1施設あたり、平均2.45人。医局員数が多い大学病院(110カ所)を除くと平均1.74人だった。

都道府県別で、医師数2人以下の病院が全病院に占める割合が最も高かったのは福島県の71%。岩手、新潟、石川、福井、滋賀、山口も60%を超えた。医師1人の割合が最も高いのは石川県の40%だった。

同省は昨年、医師不足に悩む産科医療の安全性確保のために、人口30万~100万人の産科医療圏の拠点病院に5人以上の産科医を置く「集約化」案を打ち出している。だが、「5人以上」を満たしている病院は334カ所と全体の26%。学会が目指す「10人以上」を満たしているのは全国98カ所しかない。

データをまとめた筑波大学の吉川裕之教授(産婦人科)は「これまでは、日本の分娩施設と医師数は約5000施設、1万1000人と推計されてきたが、実働は予想外の少なさだった。昨年12月以降に分娩を取りやめた病院も相次いでおり、実数はさらに減るだろう。安全な産科医療を維持するには、大変厳しい状況だ」とみる。

各都道府県は今年度末をめどに独自の集約化計画の策定を迫られている。同省母子保健課は「集約後の施設あたりの産科医数は、地域の実情に合わせ、3人以上とするなど、ハードルを下げざるを得ないだろう。集約化だけでなく、待遇改善など、産科医数増のための対策が必要だ」と話している。

(朝日 6/14)

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