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2006/08/25

愛知県・西居院 不登校児を預かる 命懸けで守る住職

☆以下のコラムは毎日新聞に掲載されたものです☆(コメントには返信しません)

愛知県岡崎市の中心部から車で15分。山沿いに建つ浄土宗の西居院(さいきょういん)で、全国から来た15人の小中高生が暮らしている。親元にいたころ、家出や自傷行為を繰り返したり、引きこもり、不登校といった“問題のある”子どもたちが、この寺の廣中邦充住職(55)と寝起きを共にし、立ち直っていくという。寺での生活を待つ子どもは全国で約990人。ここでの暮らしの何が子どもたちを変えるのだろうか。

「ごはん、できたよー」。午後7時過ぎ、住職の妻、待子さん(56)の声で子どもたちが集まり、ジャージー姿の住職がビールを飲み始めた。勉強のこと、学校での出来事……それぞれが勝手に話し出す。「運動部の合宿所」に似た一コマ。試験前には徹夜で勉強する子もいる。

廣中住職は「子どもが問題を起こすのは100%、親が悪い」と言い切る。子どもの成育歴を1年ずつさかのぼり、問題を起こした時の家庭の様子、環境の変化を詳しく聞き出し、子どもが問題を起こした原因を探る。

「親が変わらなくてはならない」と言い、両親がいるのに、親がそろって相談に来ない時は預かることを断る。「親が中途半端な気持ちでは子は立ち直れない。子どもは十代になっても赤ちゃんの時と何も変わっていない。親は原点に返れ」と説く。一度、家庭を解体し再生させる必要があるのだ。

◇握手し「親子」に

子どもと初めて会った時、廣中住職が必ずするのが握手。その瞬間から、子どもは「お寺の子」に、住職は「親」になる。

中学時代、教師を殴るなど暴れたカズ君(17)=仮名=は昨年、高校に入学したが、しばらくして不登校になった。昨年11月から寺で暮らし、今はプレス工場で働き、通信制高校で学ぶ。「今までは中途半端だった。ここから逃げたって、もう他に行く所はない」と話す。

「寺にいる間、子どものことは、ぼくが全責任を負う」。そう言う廣中住職は「門限を守る」「外泊しない」といった寺の決まりを子どもが破った時、容赦なく怒鳴りつける。暴走族が連れ出そうとすれば、体を張って追い払い、暴力団との関係を断ち切るために、組長に直談判する。子どもたちは、住職が命懸けで自分たちを守っていることを身に染みて感じており、徐々に自立し始める。

中学生のころ、友人宅に泊まり続け、午後から登校するのが当たり前の生活になっていた、高校1年のアケミさん(15)=仮名=が初めて寺に来たのは2年前の夏。その年の冬に2カ月ほど寺で暮らし、今年4月からまたここで生活している。

「両親も、おじさん(住職)と会ってから変わった。自分の意見を言わなかったお母さんは、意見を言うようになり、強くなった。お父さんは優しくなった」と言い、「夫婦げんかをしなくなった」と話す。母親(40)は「よく見ている」と驚き、「私も親のエゴがあった。以前は、子どもの気持ちを分かってやれなかった」としんみり話す。

◇寝食共に…無償の愛

廣中住職は、親から食費などの費用は一切、受け取らない。看護師の待子さんの給料と、檀家(だんか)からの差し入れ、住職の講演料が、ここでの全生活費。「親」が「子」の食費などの面倒を見るのは、当たり前のことなのだ。

塾経営者だった廣中住職が父親の跡を継いで西居院の住職になったのは90年。長男の高校のPTA会長となり、不登校や退学者の多さに驚き、そうした子どもたちの多くが一人で夕食を済ませていることを知った。「お寺で一緒にご飯を食べよう」と誘ったのをきっかけに、95年から、問題行動のある子どもを預かるようになった。

「宗教者とはボランティアそのもの。死後の供養ではなく、生きるための手助けをするのが寺の役目。子どもたちを預かるのもその手助け。家庭の平和の構築のため、『坊主よ、目を覚ませ』と言いたい」。そう話す廣中住職の顔が「宗教者」の顔に変わった。

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