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2006/12/19

水利権をめぐる戦争

「また始まったわ」11月末、フィリピンの首都マニラ北部に住む主婦エミリー・ディゾンさんは途方にくれた。水道水の供給が止まり料理もできずトイレも使えない。だが不思議なことに数十メートル離れた友人宅では蛇口から水が不自由なく出る。理由は「水道を供給する会社が違うからよ」。

ディゾンさんが住む地域の水道会社はマイニラッド。一方、友人が住む地域にはマニラ・ウォーターが供給する。いずれも民営化で設立された会社だが、不振のマイニラッドは会社更生法の適用を申請。経営の明暗が水の「持てる人」と「持てない人」に分断した。

世界の水の総量は海水も含め約14億立方キロメートル。そのうち人間が実際使っている水は0.0003%に過ぎない。問題は地域や貧富の差で分配に格差があることだ。多くの国で所得の上位20%の世帯で水道の普及率が85%に達しているのに対して、下位20%では25%に留まる。

国連開発計画(UNDP)のデルビシュ総裁は「十分な水を得られず年間180万人の子どもが死亡している」と指摘する。11億人が水を十分に利用できない。UNDPはかつての南アフリカの人種隔離政策になぞらえ「水のアパルトヘイト」と表現。水の格差は対立の温床となりかねない。

ヨルダン川西岸にある3つの地下水源はイスラエル人入植地の分布図と一致する。西岸の地下水の83%はイスラエル本土の住民と入植者が利用し、パレスチナ人は残りを使うだけ。イスラエル水道局のベンメイア元局長は「次の中東戦争は水利権をめぐる戦いになる」と断言する。

シリアとヨルダンはヤルムーク川の水利権をめぐって争う。上流を握るシリアが新たに井戸を掘るたびにヨルダンのナセル前水資源相は「衛星写真をこまめに取り寄せチェックしていた」。中東では一滴の取り合いが紛争につながる。

北京の南方130キロにある湖、白洋淀。この景勝地で今年、大量の魚の死骸が浮き、腐乱臭が周囲を覆った。原因は工場廃水の流入と干ばつと見られている。水位は6.5メートル低下。周辺住民の水供給や観光産業に被害が広がった。

中国では高成長と人口増で2030年に水の需要が現在の5300億立方メートルから8000億立方メートルに増え、1人あたりの水資源は2220立方メートルから1760立方メートルに減る。「水の確保に取り組まざるを得ない」状況だ。

11月、中国がチベットのヤルンツァンポ川にダムを建設するという情報が流れた。同川はインドに流れ込みブラマオウトラ川になる。インドは上流で水を支配されることに反発。中国の汪恕誠水利相が「不必要で非現実的だ」と計画を否定したが、アジアもまた「水摩擦」に直面しつつある。

(日経 12/19)

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