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2007/01/13

気候変動と経済(スターン・レビュー)

2006年11月の地球温暖化防止ナイロビ会議は結論先送りが目立ったが、時の人を生んだ。ニコラス・スターン氏だ。経済的観点から温暖化対策の重要性を説く報告書「スターン・レビュー」が世界中をかけ巡った。

ニコラス・スターン氏は世界銀行の元上級副総裁で、現在は英国政府の特別顧問を務める。同氏は温暖化の報告書『気候変動と経済(スターン・レビュー)』を2006年10月末に発表し、直後に開催されたケニア・ナイロビの地球温暖化防止締約国会議で英国政府を代表する立場で報告した。「スターン氏の講演は満席。各国大臣のスピーチや閣僚級会合でも報告書に言及し、注目度の高さを印象づけた」とナイロビ会議に参加したCI(コンサベーション・インターナショナル)日本の日比保史代表は話す。

スターン氏は日本も訪れ、2006年11月28日には都内で開かれた「気候変動と経済」をテーマにしたシンポジウムで基調講演した。

スターン・レビューは英国のブレア首相と次期首相候補のブラウン財務相の依頼を受けてスターン氏らエコノミストが作成したものだ。気候変動の対策を採る場合と採らない場合の経済的費用をエコノミストの視点で試算し、「対策を採らなければ世界のGDPの5~20%以上の損失を被るが、対策を採れば費用は1%で済む」という結論を導いた。

◆スターン・レビューの主なポイント
・地球温暖化に必要なコストは世界GDPの1%(50兆円)だが、何もしない場合の損失は20%(1000兆円)
・気候変動による経済社会の混乱は2つの世界大戦や世界恐慌に匹敵
・最終的に世界の温暖化ガスの年間排出量を現在より80%削減しなければならない
・温暖化ガスの濃度は450~550ppmに安定化させるには2050年までに25%を削減する必要がある
・世界の電力業界は2050年までに少なくとも60%の脱炭素化が必要
・国際的な枠組みとして、排出権取引、技術協力体制、森林伐採を減らす対策、適応策が必要

温暖化対策の強化を訴える東京大学の山本良一教授は、「スターン・レビューが欧米で評価されているのは、経済的解決が可能だと示したためだ。対策コストがGDPの1%という数字は、2005年末の米国エコノミストたちの声明文にも載っており、世界のエコノミスト共通の認識になっている」と歓迎する。

国立環境研究所は「低炭素社会2050」という日英共同研究に参加しており、スターン・レビュー計画当初から英国政府に情報を提供してきた。そのメンバーの1人である西岡秀三理事は報告書作成の経緯をこう語る。

「英国は2005年8月のG8(主要国首脳会議)でブレア首相が気候変動問題を大きく取り上げた。それに先立つ2月に世界の科学者が集まる会議を開催し、気候変動が既に重要な世界的課題であることを確認したが、今度は経済的観点から世界の研究成果を集約するため、スターン・レビューが計画された」

西岡理事は、旗振り役を務めるのが資金の裏づけのある財務省であることから、「英国の本気をうかがえる」と指摘。その背景には、「米国の京都議定書離脱後、地球温暖化対策で世界のリーダーになるという意図がありそう。排出権取引市場を仕切る狙いもあるだろう」と分析する。

だが、GDP1%といっても、現状の経済規模では約50兆円に及ぶ。その巨額な資金をどんな仕組み・制度で運用すべきかはスターン・レビューは触れていない。ただ、日本にも様々な協力が求められると考えておくべきだろう。

(日経エコロジー)

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