« バイオガソリンは地球温暖化防止の救世主か? | トップページ | 中国北部の干ばつ 2200万ha被害 »

2007/05/21

日本の食卓から豆腐が消える?

◇価格高騰で「豆腐」業界に淘汰の波-エタノール需要で米大豆減産進む

「都内にある豆腐店約1000軒のうち、3分の1は廃業に追い込まれるかもしれない」――東京都墨田区の豆腐店経営者で、東京都豆腐商工組合の平田久志委員は、豆腐の原料となる非遺伝子組み換え(Non-GMO)大豆価格が2008年に供給不足から高騰し、大部分が零細企業で価格転嫁が困難な豆腐業界は淘汰を免れないと懸念する。

日本で豆腐や味噌、納豆などに使われる食用大豆はすべてNon-GMO大豆で、年間消費量約100万トンの5割を米国から輸入している。しかし米国ではこれまでNon-GMOを栽培していた農家がGMOに切り替えるケースが増えており、日本側は農家にNon-GMOの生産継続を依頼するため値上げを受け入れざるを得なくなっている。

背後にあるのは、自動車用燃料となるバイオエタノール向け需要拡大による穀物価格の急騰だ。バイオエタノール向けトウモロコシ需要拡大により、大豆とトウモロコシの輪作が主体の米国では大豆の供給不足が懸念されており、国際指標となるシカゴ 商品取引所(CBOT)で取引される大豆先物価格(期近物)は19日終値で 1ブッシェル当たり7.9525ドルと、過去1年間で3割程度上昇している。

簡単に儲かる?GMO大豆に興味示す米農家

このため、農家の間ではこれまではGMO大豆よりも1割前後高い価格で取引されるNon-GMOの魅力が消え失せている。「GMO大豆でも十分儲かるため、害虫や雑草駆除に費用と手間がかかるNon-GMOが敬遠され始めた」(三井物産、食料・リテール本部の塚原慶一・穀物油脂部室長代理)という。

米農務省(USDA)によると、2006年の大豆作付け面積約3031万ヘクタールのうち89%がGMOだったが、6月中旬に発表される07年の作付け調査では「GMOが90%以上に増えるのが確実」(農林水産省・食品産業振興課の 大橋聡・課長補佐)とみられている。味噌大手、ハナマルキ(東京都中央区)花岡俊夫社長は「95%程度まで増える可能性もある」との見方を示す。

Non-GMO確保で日本勢と米農家値上げ交渉

日本側は総合商社などが窓口となり、米農家にNon-GMO大豆の生産継続を訴えるため「割増金(プレミアム)の積み増しなどで現在交渉中」(アメリカ大豆協会・日本事務所の立石雅子マーケティング・マネージャー)としている。

遺伝子組み換えの安全性に対する日本の消費者の不安感は根強く、食品メーカーはNon-GMO大豆を確保せざるを得ないため「事実上の言い値で値上げを受け入れるしかない」(東京都豆腐商工組合の平田氏)のが実情だ。

東証マザーズ上場の豆腐大手、篠崎屋は「大手商社の兼松と共同でアルゼンチン産を利用する方向で検討」(経営企画部兼IR室長の沼嵜昭宏氏)するとしているが、事はそう簡単に運ばないようだ。

三井物産では南米産の調達を検討してきたが「輸送距離が長く、割安感が少ないため、具体的な計画となっていない」(食料・リテール本部の塚原室長代理)。海外穀物市場に詳しいユニパック・グレインの茅野信行社長は「南米産大豆は品質面で豆腐に適さない」と指摘する。

豆腐価格の値上げ、GMO利用-いずれも困難な状況

大豆価格の引き上げで最も打撃を大きく受けるのが豆腐業界だ。豆腐用大豆の年間消費量は49万トンと食用大豆の半分を占めるうえ「大部分が零細企業で流通に対し価格交渉力が少なく、オレンジジュースのような業界一斉値上げが難しい」(大豆輸入大手、ホンダトレーディング・大豆課の金澤亮二氏)からだ。

これに対し、行政は静観の構えだ。農林水産省は、輸入するGMO大豆は厚生労働省が安全性を確認済みとしてNon-GMO大豆の供給不足を問題視していない。一方、「食品メーカーにGMO利用を促して、製品が売れなくなった場合責任が取れない」(農水省・食品産業振興課の大橋課長補佐)との声も出ている。

専門家の間では「日本も食用にGMOを使うしか長期的な解決策はないのでは」(ユニパックの茅野社長)との指摘が出ているが、消費者側のGMO大豆に対する警戒感は根強い。

GMO大豆を使用した豆腐や味噌などの加工食品には表示義務があるなど、もはや生産者や業界団体の自助努力だけでは対応しきれない状況に追い込まれているのが実情のようだ。食品メーカーが率先してGMO大豆を使った場合、「だれも買ってくれない」(東京都豆腐商工組合・平田氏)という事態も現実味を帯びてきた。

(Bloomberg 5/21)

★有意義な情報/記事を見つけたと思われた方は、クリックをお願いします!
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2


☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

|

« バイオガソリンは地球温暖化防止の救世主か? | トップページ | 中国北部の干ばつ 2200万ha被害 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/84872/15157519

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の食卓から豆腐が消える?:

« バイオガソリンは地球温暖化防止の救世主か? | トップページ | 中国北部の干ばつ 2200万ha被害 »