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2007/05/12

温暖化ガス 途上国の排出量増加

中国やインドを含む途上国の温室効果ガス排出量は大幅に増加しており、2100年には、先進国の排出量の約3倍となる見通しである。一方、世界中で毎年排出される温室効果ガスの量を、2050年までに1990年排出量の50%以下にすれば、気候が安定すると言われている。単純計算では、すべての国が温室効果ガス排出量を半減させれば達成できるが、実際はそう単純に考えることはできない。その理由は、一人当たりの温室効果ガス排出量が国ごとに大きく異なるからである。例えば米国に続き、総量では世界第2位の排出量である中国の一人当たりの平均排出量は、米国の一人当たり平均排出量のわずか10~15%にすぎない。このような理由もあり、京都議定書では、途上国は温室効果ガス排出量の削減を義務化されていない。

途上国の温室効果ガス排出量増加には、大きく2つのパターンがある。一つは、中国やインド、ブラジルなどに代表される経済開発と人口増加に伴う増加。他方、インドネシアやマレーシア、チリなどでは、天然資源(温室効果ガス吸収源)の利用拡大に伴う増加が見られる。それぞれの状況を踏まえつつ、今後どのように温室効果ガス総排出量を削減していくのかを考える時期に差し掛かっている。

◇発展に伴う排出量増加

京都議定書において、途上国は温室効果ガス排出削減を義務付けられていない。しかし、経済活動が活発化し、人々の生活水準が上がるにつれて、その排出量は急増している。

例えば中国における主な温室効果ガスの発生源は、石炭・石油・天然ガスの消費および農牧業(動物の消化活動や畜産廃棄物、窒素肥料、水田などから発生するメタンや亜酸化窒素)である。食料とエネルギーの消費量は、人口規模と経済の発展段階によって決まる。中国の人口は世界一で約13億人、そして毎年10%近くの経済成長を続けていることを考えると、エネルギー総消費量とそれに伴う温室効果ガス総排出量が世界一になるのは時間の問題だろう。実際に、国際エネルギー機関(IEA)は遅くとも2008年までに、中国は米国を抜いて世界最大の排出国になるだろうと見解を示した(2007年4月)。

一方で、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、中国、インド、ブラジルなど驚異的な経済成長を続ける国が、エネルギー効率の高い最新設備を導入することで、エネルギー消費量を少なくとも25%削減でき、それに伴い温室効果ガス排出量も相当量削減することが可能であると見積もっている。

◇排出削減のジレンマ

現在、英国とEU、それに米国の西部5州とイリノイ州では、自主的に2050年までの温室効果ガス削減目標を掲げて動き出している。このような中で、環境省では、国際社会から日本に対して2050年までに60%~80%の削減を求められる可能性があると考えている。それを受けて、環境省の運営する競争的研究資金、地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「脱温暖化2050プロジェクト」では、2007年2月にプロジェクトの研究成果である、2050年までの日本における70%の削減の可能性を発表した。

これら先進国での排出削減の取り組みとともに、地球規模で温室効果ガス排出量を削減するためには、現在急増している途上国からの温室効果ガス削減が必要であると考えられる。しかし、グローバル化により加速された、先進国の企業からの直接投資が進む現在の経済構造下では、先進国が間接的に発展途上国の温室効果ガス排出量の増加を促してしまっている。これは、地球規模で取り組んでいる温室効果ガス排出削減におけるジレンマであり、現在のグローバル経済の盲点である。

最近大きく取り上げられた問題の一つに、インドネシアの泥炭地域に関するものがある。2006年11月、国際湿地保全連合は、「泥炭の分解や火災によって排出される大量の二酸化炭素(CO2)が、インドネシアを世界第3位の温室効果ガス排出国に押し上げた」と報告した。その背景には、インドネシアやマレーシアで、世界全体の80%が生産されているパームオイルに対する高い需要がある。先進国の需要に応えるために地域住民は泥炭地域で焼畑開墾を行い、グローバル企業は大規模プランテーションを造成する。そして、その開発のために、世界の年間化石燃料利用量の100年分にも相当する炭素を蓄積していると言われる泥炭の厚い層から大量の二酸化炭素が放出される。気候変動防止のために、エネルギーを石油製品からパームオイルに変換していこうとする先進国の取り組みが、この地域の温室効果ガス排出量拡大を加速させようとしている。

しかし、ほかに生計を立てる術を持たない住民を多数抱えるインドネシアやマレーシア政府は、大規模な伐採を止める有効な方法を見いだせていない。このような、先進国が間接的に途上国の温室効果ガス排出量増加を促しているという問題の解消も含めた温室効果ガス排出削減への取組みが望まれる。

(日経BP)

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