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2007/06/09

東京都・新温暖化対策の“劇薬”

2007年6月6日に主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)が開幕した。最大の議題は地球温暖化問題。首脳会議で「2050年までの温暖化ガス半減を真剣に検討する」ことで合意した。これで果たして実効性のある枠組みを築けるのか,今後の交渉の行方が大いに気なるが,このサミットに合わせたように2007年6月1日に公表された「東京都気候変動対策方針」にも注目したい。CO2削減の“劇薬”ともいわれる「キャップ&トレード方式」の排出権取引制度の導入が盛り込まれているからだ。

キャップとは,企業などに割り当てるCO2など温暖化ガスの割当量のこと。例えばA社には2008年のCO2排出量は上限で100tという具合に割り当てる。だが,A社の排出量がちょうど100tになるとは限らない。もし,排出量が割当量を上回った場合は,その分だけ排出権を買ってくる必要があり,下回った場合は余剰分を売却できる。この排出権取引がトレードに当たる。割当量と取引を合わせてキャップ&トレードというわけだ。

この制度が劇薬といわれる所以は,削減目標を達成するために企業などへの割当量を強制的に毎年減らしていけば,確実に温暖化ガスの排出量を減らせるからである。「はいA社さん,2009年の割当量は,前年比半減の50tね」と決めれば,A社はそれを守らなければならない。「実際に割当量の削減を強制できるか」あるいは「どこまで細かくキャップをかけるか」などの問題は当然あるが,原理的にはもっとも確実な削減手法の一つといわれている。

東京都の新方針では「大規模CO2排出事業所に対する削減義務」と表現されているが,東京都環境政策課によると「制度を実施する際にはキャップをかけることを想定している」。

欧州では2005年1月から,欧州連合(EU域内)で大規模なキャップ&トレード方式の欧州排出権取引制度(EU ETS)がスタートしており,当初は厳しい割当量が課されなかったこともあって大きな混乱もなく導入された。この実績が東京都の方針決定の後押しになっているようだ。

東京都は2008年度に条例を改正し,排出権取引制度の早期導入を目指している。だが,まだ制度の全体像は固まっていない。キャップがかかる大規模CO2排出事業所の線引きや,割当量の決定方法,取引市場の運営主体,罰則規定の有無――など,議論すべき課題は多い。まず,2007年7月に開催する予定のステークホルダー・ミーティング(利害関係者会議)で議論を始めたいとしている。

新方針は,「東京が先駆的な施策を提起,日本の気候変動対策をリード」するとうたっている。実際に環境政策では,石原慎太郎都知事が陣頭指揮を採ってディーゼル車の排出ガス対策で突出,国が後追いしたケースもある。東京都にキャップ&トレード方式の排出権取引制度が導入されれば,日本の温暖化対策の大きな転機になることは確実だ。

(日経BP 6/9)

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