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2007/06/23

社員をサーフィンに行かせよう

米アウトドア・ブランド、パタゴニア日本支社・環境担当・篠健司(しの・けんじ)氏のコラム。(日経Ecolomy 6/11)

「環境経営」とは程遠いイメージの米国企業。ここに来て急速に環境重視に転換しているように見えるが、米アウトドアブランドのパタゴニアは創業以来、環境経営の「老舗」として知られ、企業の存在自体を「環境を守るための実験」とする独自経営で注目される。同社の日本支社で環境担当を務める筆者が、自然との付き合い方やNPOとの関係性を探る連載の第1回。

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今年3月、私が勤務するアウトドア・ブランド「パタゴニア」の創業者イヴォン・シュイナードがその経営理念を15年の歳月をかけてまとめた著書の日本語版が発売されました。タイトルは「社員をサーフィンに行かせよう」(http://item.rakuten.co.jp/book/4304536/)。原題「Let My People Go Surfing」を訳したものです。

「パタゴニア」と聞けば会社名よりもまず先に、鋭くそびえる山々、青い氷河、空高く舞うコンドルやペンギンなど、南米パタゴニアの手つかずの大自然を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。会社としてのパタゴニアはカリフォルニアに本社を置き、グローバルでも年商250億円ほどの中規模な会社ですが、その経営理念と環境への取り組みへの評価は高く、米フォーブス誌による「100 Best Companies to Work For(働きやすい企業ベスト100)」や米ワーキング・マザー誌による「100 Best Companies for Working Mother(働く母親のためのベスト企業100)」では毎年のようにランキングに入り、今年の米フォーチュン誌4月2日号では「The Coolest Companies On The Planet(最もかっこいい企業)」というタイトルの記事で大きく紹介されました。

■本当に仕事中にサーフィンに行くのか

さて、この「社員をサーフィンに行かせよう」というタイトルを初めて見る方はきまってこう質問します。「本当に仕事中にサーフィンに行けるの?」。私の答えもいつも同じです。「波が良くて、仕事の都合がつけば、行けますよ。そのために米国本社はカリフォルニアの有名なサーフポイントの近くに、日本支社は鎌倉にオフィスを作ったんです。しかもオフィスにはシャワーもあります。」

イヴォンが「社員をサーフィンに行かせよう」と言うのには、企業経営上の確固たる狙いがあります。著書から抜粋して紹介します。

「責任感」:今サーフィンに行っていいかどうかなど、上司にいちいちお伺いを立てなくとも、社員一人一人が責任を持って仕事の進め方の中で判断ができる組織を作る。

「効率性」:午後にいい波がくるとわかれば、仕事を効率的に進めることを考える。

「融通をきかせる」:いい波、あるいはいい雪がいつ降っても出かけられるように、日頃から生活や仕事のスタイルをフレキシブルにする。

「協調性」:周囲がお互いの仕事を知り、信頼し合っていれば、誰かがサーフィンに行ったとしても、病気になっても、あるいは育児休暇で休んだとしても機能する。

「真剣なアスリート」:パタゴニアはアウトドア製品を開発・製造、販売している会社であり、誰よりも自然やアウトドアスポーツに対する深い経験と知識を持っているアスリートを採用できる。

実は、イヴォン自身こそ最も会社におらず、自然の中で多くの時間を過ごしています。これをイヴォンは「MBA」と呼んでいますが、いわゆる経営学修士の意味ではなく、「Management By Absence」の略、つまり、「不在による経営」。パタゴニアの使命である「地球を守る」ため、会社の価値観に沿った社員の判断を尊重し、自主性を高める経営を実践しようとする経営哲学なのです。

■会社は地球を守る「実験」の道具

パタゴニアという会社がユニークなのは、創業者であるイヴォンが企業経営を、地球を守るための「実験」だと位置づけている点です。毎年売り上げの1%もしくは税引き前利益の10%どちらか大きい額を環境保護団体に寄付し、世界で初めてフリース衣料をペットボトルから再生し、また、企業による環境への取り組みを加速させるための企業同盟組織「1% for The Planet(地球のための1%)」を創設するといったことを実現してきました。こういった具体的な取り組みは「言葉よりも行動を」という企業理念により次々と取り入れられ、通常の感覚では難しいと思われることでも、実際に定着しています。

そして、これらの行動のひとつひとつは、「最高の製品を作り、不必要な悪影響を最小限に抑え、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」という普遍の企業ミッションを追求することで形になったものといえるでしょう。

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