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2007/07/26

広がる環境経営の“守備範囲”

環境問題やCSR(企業の社会的責任)に配慮した経営が当たり前になり、対策を求められるテーマや手法でいっそうの広がりと深まりを見せている。その潮流を端的に示しているのが、今年も株主総会に合わせて多くの企業が発行した環境報告書やCSRレポートだ。いまや、上場企業の3分の1以上にあたる約1000社が発行するまでになっている。

これらの報告書づくりの指針になっているのが、環境省の「環境報告ガイドライン」と、国連環境計画(UNEP)なども参加して決めているGRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)という国際基準だ。そのいずれもが、相次いで新ガイドラインに改訂された。

6月28日、環境省は「環境報告ガイドライン(2007年版)」を策定したと発表した。また、昨年10月にはGRIから「サステナビリティ・リポーティング・ガイドライン第3版(G3)」が公表された。

「環境報告ガイドライン(2007年版)」では、「金融のグリーン化の促進」や「生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用の促進」という項目が新設された。また、GRIの第3版では、ステークホルダー(企業の利害関係者)との密接な連携や関係性の強化などが新たに盛り込まれた。

企業にとっては、環境・CSRで取り組むべきテーマがますます広がり、「あれもこれも言われても・・・」とのため息が聞こえてきそうだ。

6月に発行された環境報告書やCSRレポートを見ても、旧ガイドラインに対応するのがやっとという企業がほとんどだった。だが、実は新ガイドラインでは必ずしもすべての項目に対応せよと強制しているわけではない。

環境省の新ガイドラインには、項目ごとに「記載する情報・指標」と「記載することが期待される情報・指標」が分けられ、企業の環境経営の意識レベル差に配慮している。環境省の大久保玲子・環境専門調査員は、新ガイドラインの目的の1つを次のように言う。

「さらに多くの企業が環境報告書を作成することになる、近い将来を見据え、まだ取り組みが十分でない企業が発行するにあたって、情報の優先順位を示すことを目指した」

松下電器に見る「優先順位」

また、GRIの第3版でも、企業にとって、すべてを網羅する必要はなく、「マテリアリティ」(重要性)を考えて取り組むことを推奨している。

環境・CSRに配慮した経営に関し、まず何に取り組み、レポートで何をアピールするのかという視点で参考になるのが、松下電器産業だ。

同社の「社会・環境報告書2007」にある「編集方針」には、インターネットのホームページで掲載される情報と、冊子として報告書に掲載すべき情報に、それぞれテーマを絞り込んで整理したことを示すイメージ図がある。横軸にその企業にとっての重要度、縦軸にステークホルダーの関心度をとり、その両方にとって度合いの高い情報について、冊子に掲載したことを示している。

CSRレポートや環境報告書の制作を手がけるクレアンの安藤正行課長は、「この図を編集方針に載せられるということは、社内でも環境に関する情報の優先順位を共有できおり、かつステークホルダーの声も十分に聞く体制が整っている証拠」と、この図を掲げられることの意味を語る。

環境省によれば、今回改訂した新ガイドラインについては、ある程度先回りした内容も盛り込んだという。例えば、「生物多様性」の項目では、他項目に比べて参考になりそうな取り組み事例が多く載せられ、大多数を占める今後対応する企業に配慮している。また、環境経営の数値的評価が進んでいる現状から、環境対策の効率性を示す指標も盛り込むなど、試験的な要素もうかがわせる。

ますますテーマに広がりを見せる環境・CSR経営。一方で、自社に合ったテーマを選別し、アピールする独自性も求められ始めた。本業の経営手法と同様に、環境・CSRも業種や企業規模によって、多様化していく兆しが出てきた。

(日経エコロジー)

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