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2007/07/19

ポスト京都

●京都議定書から引き継ぐ課題
 
京都議定書は、先進国では温室効果ガス最大排出国である米国とオーストラリアが批准していないことや、中国やインドなど経済成長が著しい途上国が削減義務を負っていないことなど、実効性に課題を抱えたまま発効された。

先進国と発展途上国の間で、地球温暖化問題に対する責任をどのように分かち合うかということは京都議定書以前から議論されている問題である。京都議定書を採択した1997年よりも世界全体の温室効果ガス排出量が大幅に増えているなかで、「ポスト京都」は、より厳しい目標を掲げざるを得なくなっている。各国・地域の利害関係の調整を余儀なくされるだけに、参加国・地域が納得する枠組みづくりが必要である。

ポスト京都の枠組みは、京都議定書の第一約束期間と第二約束期間の間に空白が生じないように設定されることが、2006年11月の「気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)」で合意されている。しかし、日本は京都議定書で定められた排出権取引などの市場メカニズムを含む「京都メカニズム」の検証をまず行うべきだと主張している。

●新たな枠組みのの方向性
 
今年1月、EU(欧州連合)の行政機関である欧州委員会は次の目標を2020年に置き、EU単独でも二酸化炭素(CO2)の排出を1990年比で20%削減することを加盟27カ国に提案した。厳格な排出規制を敷き、欧州企業に対して技術革新を促すと同時に、加盟各国の企業を排出権取引の仕組みに巻き込むことでポスト京都に備えている。日本も温暖化対策の具体案として、京都議定書は大きな一歩であったとしながらも、ポスト京都は京都議定書を超える新たな枠組みづくりとすべきだと訴える。

2007年6月の主要国首脳会議(ハイリンゲンダム・サミット)は、「2050年までに温室効果ガスの排出量を半減することを真剣に検討する」という大枠で合意し、2009年までの具体案決定を目指している。EUや米国、日本は、ポスト京都に米国や中国、インドなどの主要排出国の参加が不可欠だという点では一致している。しかし、基準年や数値目標など具体的な枠組みづくりについての思惑にはギャップがある。例えば、温室効果ガス半減との目標に対して、どの時点から半減させるかという「基準年」問題。EUは1990年を基準年とすることを主張しているが、当時、すでに省エネルギー化が進んでいた日本にとっては不利に働く。

サミットでは、主要国首脳は新興5カ国(中国、インド、メキシコ、南アフリカ、ブラジル)と協議し、大量排出国となった新興国の責任を説き、温室効果ガスの抑制に協力を要請した。新興国側は、先進国とは発展の格差があり、異なる目標設定にすべきだとして、途上国に削減目標を設けるのは時期尚早だと反論した。ただし、インドや中国はポスト京都に協力する意思を表明しており、今後は京都議定書の前提とされた「共通だが差異のある責任」をどのように分担するかが議論のポイントとなるだろう。

●ポスト京都に向けた日本の役割
 
日本は、2008年7月のサミット開催国であり、サミットでは、省エネルギー化が進んでいる自国の方策にあった戦略策定を目指し、目標数値と基準年の問題を解決したい考えだ。

2007年9月の「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」や「気候変動に関する国連ハイレベル会合」には、京都議定書に批准しない米国やオーストラリア、また排出削減義務のない多くの新興国や途上国が参加を予定している。「温室効果ガスを2050年までに半減する」という目標を中心にした議論になると予測されるが、目標達成のためには反発する新興国や途上国をいかにポスト京都に取り込むかが重要になる。そのため日本には、自国を含め他国が利害関係を超えて参加しやすい、柔軟かつ確固とした戦略の策定が期待されている。

◇京都メカニズム情報コーナー:環境省

◇チーム・マイナス6%

◇「国別温室効果ガス排出データ」:国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)(1990-2004)(英語)

(日経BP 7/19)

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