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2007/08/05

CDM(クリーン開発メカニズム)

日経BP ECOマネジメントの用語解説

●2005年から実施
 
CDMとは、先進国が途上国でGHG削減プロジェクトを実施し、実際に削減できた量を排出権(CER:認証発行削減量)として自国の削減量に充当できる仕組み。京都議定書で定められた「京都メカニズム」と呼ばれる柔軟性措置の一つである。先進国は獲得した排出権を京都議定書で定められた数値目標達成のために活用する。CDMは、2001年にモロッコのマラケシュで開かれた「気候変動枠組条約第七回締約国会議(COP7)」で採択された「マラケシュ合意」を受けて、ほかの京都メカニズムに先行して制度化され2005年より実施されている。

排出権を獲得できる事業は排出削減プロジェクト以外にもあり、例えば、植林などによる二酸化炭素(CO2)吸収プロジェクトもその一つだ。ただし排出削減の場合も、吸収・固定化の場合も、プロジェクトを実施しなかった場合に比べて「追加的」、つまり、GHGを余計に削減できなければ排出権として認められない。

CDMでは、途上国は自国内でプロジェクトが進むことにより便益を得ることができ、先進国はクレジット取得分の排出枠が増える。このことから、途上国・先進国の双方が利益を享受できる仕組みと言える。例えば、水力や石炭火力などの電源開発の場合でみると、途上国はCDMプロジェクトの実施を通して先進的な技術を導入し、かつGHG排出削減に対する投資を呼び込むことができる。参加資格さえ満たせば事業者も京都メカニズムを活用できることから、企業もCDMに対する関心は高い。

●一部に偏る、国と事業内容
 
UNFCCC事務局によると、CDMプロジェクトを実施する付属書I国の内訳は、英国が約4割を占め最も多く、オランダ、日本、スイスが続いている。また、登録されているCDMプロジェクトは、非附属書I国に所属するブラジル、インド、中国などで主に実施されている。プロジェクト別のCDM実施例でも、エネルギー関連(再生可能/非再生可能エネルギー)が半数強を占め、偏りが目立つ。

水力発電や石油・化学製品製造など、大量にGHGを削減できるCDMプロジェクトが話題になる一方で、資金力のある先進国に小規模CDMプロジェクトを紹介する事業が軌道に乗り始めている。例えばブラジル三井住友銀行は、ブラジルで排出権購入を希望している日本企業に、同国の排出権事業者を紹介する「CDM案件探索事業」を実施している。この事業は、画期的なビジネスモデルとして、英国の『フィナンシャル・タイムズ』と国際金融公社(IFC)が実施する2007年度の「サステナブル・バンキング賞」の優秀賞を受賞した。

一方、小規模CDMとして認定プロセスが簡素化されている再生可能エネルギー導入プロジェクトや排出削減プロジェクトもある。例えば、CDMの形で支援を受けて普及したバングラデシュの太陽光エネルギープロジェクトでは、グラミン銀行のグループ会社であるグラミン・シャクティ社が手掛ける家庭用ソーラーシステムの割賦販売により、電気の普及を図っている。電気の供給を受ける国民が3割を下回るバングラデシュでは、家庭用ソーラーシステムの利用により、灯油ランプの使用による室内空気汚染などの弊害を回避できるだけでなく、地域全体のGHG削減も見込まれる。


●解決を迫られる課題
 
先進国と途上国の双方にメリットをもたらすCDMだが、いくつかの問題が指摘されている。

第一に、CDM理事会による承認に時間がかかり、結果として申請側のコスト負担が大きくなっている点だ。CERの発行も第三者が関与して厳格に行われ、さまざまな審査が課せられている。また、CDMプロジェクトが特定の分野や地域に偏っていることも問題点の一つ。インドやブラジル、中国など経済発展が著しい途上国に集中しており、CDMの目的の一つである、途上国における持続可能な発展に役立っているのか疑問が呈されている。

CDMプロジェクトの実施にかかわる当事国だけが結果として便益を得ることになり、地球全体のGHG削減につながらないという指摘もある。途上国におけるCDMの実施が、結果として、先進国の自国でのCO2削減活動を消極的にするのではないかという懸念である。

こうした課題に応えるために、新しい仕組みも用意されようとしている。今年6月には、CDM理事会で「プログラムCDM」と呼ばれる手法の手続きとガイダンスが採択された。プログラムCDMは、都市全体や国全体で削減に取り組むために制度(プログラム)を導入し、効果的な削減手法の普及をめざすもの。巨額の設備投資が不要のため、対象となる途上国が拡大すると期待されている。

▼「図解 京都メカニズム 第7.0版」:財団法人 地球環境戦略機関

▼CDM:国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)(英語)

▼CDMプログラム:財団法人 地球環境戦略研究機関

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