« ブラジルで排出権取引市場、9月末開設へ | トップページ | 異常気象リスクマップ »

2007/08/22

JI(共同実施)

日経BP ECOマネジメントの用語解説。

●先進国全体の排出量削減が目的
 
京都議定書では、先進国による温室効果ガス(GHG)排出削減量の数値目標を定めている。JI(共同実施)は、その目標達成の補足的な仕組みとして、CDM(クリーン開発メカニズム)や国際排出量取引とともに導入された柔軟性措置(京都メカニズム)の一つ。京都議定書を批准した国は、地球温暖化対策のためにGHGの排出削減プロジェクトや吸収プロジェクトを実施するが、JIの活用によって、自国で実施するよりも費用対効果の大きな国でGHG削減プロジェクトを実施し、自国のGHG排出枠(ERU)として利用することができる。一方、プロジェクトが実施されるホスト国は、GHG排出削減に関する投資や技術導入を受けるメリットがある。CDMやJIのプロジェクトを通じて得られたGHGの排出削減分は、クレジットとして、国際排出量取引を通じて取得・移転される。

CDMでは、先進国が途上国において排出削減・吸収プロジェクトを実施するのに対し、JIは市場経済移行国など国際社会において中間的な位置付けの国で行われることが想定されている。市場経済移行国の技術水準を引き上げることで、それらの国を含む先進国全体の総排出量の削減を目指しているのだ。なお、排出削減および吸収増大が「JIプロジェクトがなかった場合に比べて追加的でなければならない」とする点はCDMと同じである。

●旧ソ連・東欧圏がホスト国の中心
 
JIを実施する場合は、まず、事業を実施する組織が計画を策定する。計画の承認は、以下に述べるように、事業の実施国となるホスト国が京都メカニズムに参加する資格を有しているかどうかによって異なる。

ホスト国が、京都メカニズムの参加資格を満たしている場合は、プロジェクト参加者とホスト国との合意によりプロジェクトを決定して実施し、その効果をモニタリングする。プロジェクトが有効であれば、参加者とホスト国との間で合意された内容およびモニタリングに基づいてERUが決定される。

ホスト国が京都メカニズムの参加資格を満たしていない場合は、信任独立組織(第三者機関)がJIプロジェクトの適格性を認めたうえで、プロジェクトの実施およびモニタリングが行われる。その結果に応じて、信任独立組織によりERUが決定され、ホスト国が発行したERUが投資国に移転される。

UNEP(国連環境計画)によると、2007年7月の時点で180件のJIプロジェクトが登録されており、削減される二酸化炭素量は約3600万tに上るとされる。JIプロジェクトのなかでは、風力発電事業、バイオマス利用、省エネルギーの推進が多数を占めており、ブルガリア、チェコ、ウクライナをはじめとする市場経済移行国をホスト国として登録されている。これらの国々には、旧共産圏時代の非効率な工場や施設が残っており、JIプロジェクトにより、最新の技術導入が進むと期待されている。

日本では、環境省が2007年7月23日、CDM/JI事業の発掘調査の2007年度対象案件として計27件を採択したと発表した。そのうち、JIプロジェクトは2件で、風力発電事業が1件、廃棄物管理が1件だった。JIプロジェクトに関しては、これまでに、日本が関連するものが6件登録されており、ホスト国はウクライナ、ポーランド、ロシア、ブルガリアとなっている。JIプロジェクトは、既存の施設や設備のエネルギー効率改善を図るものが多く、日本の先進的な省エネ技術の移転に対する期待は大きいとみられる。

関連サイトガイド

▼JIの事項解説:財団法人地球環境センター

▼JIの概説:UNFCCC(英語)

▼“JI Pipeline Overview”:UNEP Riso Centre (ページ右側のリンクよりエクセル表をダウンロード可能、英語)

▼「平成19年度CDM/JI事業調査に係るプロジェクト案件の採択について」:環境省 報道発表資料(平成19年7月23日付)

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

★有意義な情報/記事を見つけたと思われた方は、クリックをお願いします!
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

|

« ブラジルで排出権取引市場、9月末開設へ | トップページ | 異常気象リスクマップ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/84872/16206098

この記事へのトラックバック一覧です: JI(共同実施):

« ブラジルで排出権取引市場、9月末開設へ | トップページ | 異常気象リスクマップ »