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2009/05/29

21世紀末の日本、温暖化放置なら被害年間17兆円の試算

世界が温暖化対策を取らなかった場合、今世紀末に日本では、新たな洪水や高潮などによる被害が年間17兆円に及ぶ恐れがある――。

国立環境研究所や茨城大など国内14の研究機関が29日、そんな試算を発表した。温暖化を防ぐための温室効果ガスの削減は待ったなしだが、大幅な削減を進めても、被害額は年間11兆円程度に達するとの試算も明らかになり、温暖化による被害が避けられない厳しい現実が改めて浮き彫りになった。

2005年から行われている共同研究(プロジェクトリーダー・三村信男茨城大教授)には42人の研究者が参加した。世界中で温暖化対策が全く取られずに大気中の温室効果ガスの濃度が増え続けた場合と、一定の対策を進めた場合、対策を大幅に強化した場合の3通りを想定。国内で予想される八つの影響とそれによって新たに生じる被害額について、今世紀最後の20年間の平均などを算出した。詳細な被害金額の分析は世界的にも珍しいという。

2005年の大気中の温室効果ガスの濃度は375ppm(ppmは100万分の1)。対策を全く取らない場合、2100年には900ppm近くになり、気温が1990年に比べ3・3度上昇すると見込まれる。日本では豪雨や海面上昇による洪水や土砂災害が起き、気温上昇に伴う熱中症などでの死亡の危険も高まる。海面上昇で浸食される砂浜や、気温上昇で生育に適した地域が減少するブナ林の価値を金額に置き換えると、被害額は年間約17兆円との数字が出た。

一方、世界全体の温室効果ガス排出量を大幅に削減して大気中の濃度を450ppmに安定化させた場合、気温上昇は1・6度にとどまるものの、洪水や土砂災害などの被害額は年間約11兆円。一定の対策を進めて550ppmで安定化させた場合は年間約13兆円だった。

温暖化被害を最小限に食い止めるため、世界の科学者で作る「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、大気中の濃度を450ppmで安定化させる方策の一つとして、2050年の世界全体の温室効果ガス排出量を2000年に比べ50~85%削減する必要があると指摘している。昨年7月の北海道洞爺湖サミットで、主要8か国は50年までに世界全体の排出量半減を目指すことで合意したが、途上国の反発で世界全体の目標とはなっていない。

三村教授は「最大限のガス削減努力をしても、その効果があらわれるのは何十年も先で、一定の被害は避けられそうにない」としたうえで、「災害に弱い地域や、熱中症の恐れが高いお年寄り世帯などを対象に、国内で温暖化の被害を防ぐ施策を強化する必要がある」と話している。

(読売 5/29)

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