« 2011年5月 | トップページ

2011年6月

2011/06/21

アジア都市部で急増する人口、注目の「世界人口70億人目」

【6月21日 AFP】世界のどこかで、人口70億人目の赤ちゃんを身ごもった女性が暮らしている。その女性が暮らす場所は、おそらくアジアだろう。

国連人口部(United Nations Population Division)によれば、人口70億人目の赤ちゃんは、ことしの10月31日に誕生する予定だ。その赤ちゃんは、都市部への歴史的な人口大移動にのみこまれ、都市部で生活するようになるだろう。

■アジア都市人口が急増へ

アジアでは、2022年半ばまでに、都市部で暮らす人口が、地方で暮らす人口を初めて上回ると予想されている。アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)によれば、職や良い暮らしを求めて、都市部への人口大流入が起きるのだ。

この流れはすでに始まっている。

ADBによれば、今後20年以内に、約11億人が地方部から都市部に移住する。1日当たり13万7000人の計算だ。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(McKinsey Global Institute、MGI)によると、インドは毎年、米シカゴ(Chicago)市にあるのと同じ規模の商業施設・住宅地を移住者のために作らなければならない。

さらにMGIによれば、今後15年以内に、世界の人口上位600都市(世界GDPの約60%を占める)に、中国だけで新たに100都市が名前を連ねることになるという。

1960年代と比較しても、世界の人口は2倍にふくれあがっている。60億人目の赤ちゃんですら、1999年10月12日に産まれたばかり。まだ11歳だ。

都市部へ流入する移民は、豊かな暮らしを得られるのだろうか?この疑問に、専門家の多くは、驚くほど楽観的だ。だが人類は未だかつて、これほどの急速な都市部人口の増加を経験していない。

■「都市化こそが繁栄への道」

人口爆発がもたらす問題は数多い。スラム街や疫病、犯罪、公害、インフラの不整備、大渋滞などなど。

だが、古代ローマやアテネの時代より、大都市は人類の発展を促し、社会・経済的な発達の原動力となってきたと、専門家たちは語る。

オーストラリアの人口統計学者で作家のバーナード・ソルト(Bernard Salt)氏は、AFPの取材に、「地球上で最も力強い場所は都市だ。知識と情報が蓄積され、政府機関が置かれ、アイデアが広まる場所だ」と語る。「もっとも優秀な人びとが、都市環境に結集することによるスリル感に、すべては由来している」

ハーバード大教授のエドワード・グレーザー(Edward Glaeser)氏は、ことし出版した書籍の題名で、その主張をまとめている。書籍名は「Triumph of the City: How Our Greatest Invention Makes Us Richer, Smarter, Greener, Healthier, and Happier(都市の勝利:豊かに、賢く、エコに、ヘルシーに、そして幸福にする、われわれの最大の発明)」だ。

グレーザー氏は著作で、「世界の貧しい地域では、都市が猛烈に拡大している。なぜならば都市化こそが貧困から繁栄への最も明確な道筋だからだ」と主張する。「欧米の都市が作り出した大いなる進歩は、21世紀の発展途上国の都市で、繰り返されることになるだろう」

■「都市で貧困が拡大」

しかし、それほどの大変動が犠牲なくして起こるわけではないだろう。「地方部から都市への移行は、中流階級的な暮らしを自動的にもたらすわけではない。その途上で多くの人たちがこぼれ落ちてゆく」「これは1780~1840年の英国の産業革命で起きたことと全く同じだ。そこには多大な人類の悲惨さがあった」と、ソルト氏は指摘する。

国連アジア太平洋経済社会委員会(United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific、UNESCAP)も、「貧困と格差の問題が最も集中しているのはアジアの都市部であることは明らか」と忠告する。「アジア太平洋の都市部では、住民の40%以上がスラム街に暮らしており、適切な住居がなく、基本サービスを受けられず、収入を得る機会も持てないでいる」

アジアの都市を訪れた観光客は、放置されたごみ、交通渋滞、物乞いたち、そして広大な不法占拠地域に暮らす人びとの生活環境のひどさを見て、ショックを受けていると、ADBも指摘している。

■都市の意義とは?

西洋の都会人は、派手な消費や都市生活のストレスにうんざりしていて、モノに囲まれない田園地帯や海辺での生活を求めているかもしれない。だがソルト氏は、それもぜいたくの一種なのだと語る。

「西洋人は、物がいくら買えても、社会的成功を収めても、そんなのは何の意味もない、などと言う。でも、中国の広州(Guangzhou)や上海(Shanghai)の人びとが、『消費は浅はかだ』などと尊大な主張をするとは思えないね」

カナダやスイス、オーストラリアなどの、きれいで効率的な都市は「世界の住みやすい都市ランキング」の常連だが、住みやすいことと、その都市が愛されているかどうかは違うのだと、主張する専門家もいる。

「都市が魅力的でワクワクした場所になるのは、リッチな反面、不確実性にあふれるなど、複雑さを持っているから。村の生活の真逆だよ」と語るのは、ロンドン大学LSE(London School of Economics)都市計画科を創設したリッキー・バーデット(Ricky Burdett)教授。

バーデット氏は、「アジアでは全体的に、成長と都市化は生活の質の向上をもたらした」と述べる。「世界のどこであっても、わたしは都市については楽観的だね」。それに都市の方が地方部よりも教育機会に恵まれている。「教育はすべてに通じる第一歩だ。経済的、社会的な幸福や健康の第一歩だ」

だが都市部で成長した人口70億人目の子は、教育機会や職を大勢の人びとと競い合うことになるだろう。2025年6月15日には、世界人口80億人目の赤ちゃんが誕生するとみられている。

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★いい情報に出会えたと思われた方は、Click me!人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

海洋生物大量死の危機、5500万年ぶり 専門家集団

【6月21日 AFP】海洋汚染と地球温暖化は、世界中の海で、海洋生物を過去5500万年見られなかった大量絶滅へと追いやっているとする報告書が、20日公開された。

報告書は、海洋研究国際計画(IPSO)の後援のもと、世界トップクラスの海洋専門家27人が今年4月に英オックスフォード大(Oxford University)に集まり、最近の研究を総括した際にまとめたもの。

海の環境を悪化させる要因は主に3つある。温暖化、酸性化、低酸素化で、いずれも人間活動が直接的にもたらしたものだ。

これまでは、これらの要因は個別に研究されることが多かった。これらの要因がどのように相互作用するかが理解されるようになったのは近年になってのことだ。

そして、最近の研究を総括した専門家らは、海洋環境が国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2007年に発表した最悪のシナリオの場合と同じか、それを上回る速度で悪化していることを見出した。

このことは、生物学的要因と化学的要因が複雑に絡み合った「地球系」の広範な崩壊をもたらす前兆ととらえることができるかもしれない。今の海洋環境の状況は、深海生物の50%以上が死滅した5500万年の「暁新世/始新世境界温暖化極大イベント(PETM)」の前の状況と多くが同じだという。

「われわれはこれまで、総合的なリスクを過小評価してきた。個別の要因が重なると、海洋環境は最終的に、それぞれの影響を足したものよりも大きく悪化する。そして海洋環境は予想を超えるスピードで悪化しつつある」と、IPSOを率いるオックスフォード大のアレックス・ロジャース(Alex Rogers)教授は言う。

■数々の脅威

海の酸性化へつながる連鎖反応は、地球の気候系に大量の二酸化炭素(CO2)が流入することが発端となる。海は大気中のCO2の25%以上を吸収する巨大なスポンジの役割を果たすが、飽和状態になると、海、ひいては地球上のすべての生態系の微妙なバランスが崩れることになりかねない。

報告書によると、海に吸収されるCO2の割合は、既にPETMの時をはるかに上回っているという。

また、海洋汚染の影響も大きい。例えば窒素を多く含む化学肥料や病原菌、環境ホルモンが海に流入することで、サンゴ礁が大量死している。サメなど1部の大型魚類の乱獲により、海の食物連鎖が大きく崩れ、藻やクラゲなどが異常繁殖している。

報告書を共同執筆した国際自然保護連合(IUCN)のダニエル・ラフォリー(Daniel Laffoley)氏は次のように語った。「われわれは、(海洋生物の大量絶滅の危機に)時間をかけて対処できる最後の世代になるかもしれない」

☆カテゴリー「地球環境問題・気候変動」

☆海面上昇シミュレーション Flood Maps あなたの街は何mの海面上昇で水没?

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★新しい気づきや考えるきっかけに出会えましたか?
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/07

現在のCO2排出ペース、「温暖化極大期」の10倍

【6月6日 AFP】現在、地球の大気に二酸化炭素(CO2)が放出されるペースは、5600万年前に地球の気温が5度以上上昇した「温暖化極大期」と比べて10倍に達しているとの米大学などの研究が、5日の英科学誌「ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

5600万年前に地球が突然温暖化した暁新世・始新世境界温暖化極大期(Paleocene-Eocene Thermal Maximum、PETM)は、少なくとも1万年続き、最新の研究では2万年ほど続いた可能性が高いとされている。これは地質学的には短いが、動植物にとっては適応が必要となる長い期間で、深海生物など絶滅する種も相次いだ。

「PETMより10倍近いペースでCO2を大気に放出しているということは、気候システム(気候系)がより激しい擾乱(じょうらん)に適応しなければならないことを意味する」と、論文を共同執筆した米ペンシルベニア州立大学(University of Pennsylvania)のリー・カンプ(Lee Kump)教授は懸念を示している。

■千年単位の気候変動が百年単位で進む現在

カンプ教授らの研究チームは、ノルウェー領スピッツベルゲン(Spitsbergen)島付近の厚さ150メートルに及ぶPETMの地層を分析した。その結果、2万年間の温暖化期に放出されたCO2量は年平均値で17億トン未満で、従来の予想よりも少ないことが分かった。

これに対し、現代の化石燃料使用によるCO2排出量は、年間80億トンに上っている。

カンプ教授は電子メールでの取材に、「生物は変化の絶対量にも影響を受けやすいが、変化率にも影響を受けやすい。化石燃料の燃焼によって、世界規模の自然生態系が地球史上かつてないような形で損なわれている恐れがある」と答えた。

国連(UN)の科学者らは、CO2排出が大幅に削減されなければ、地球の平均気温は2100年までに4~5度上昇しかねないと指摘している。つまり、PETMのときに千年単位で起きた気温上昇が、百年単位で急激に起こるというのだ。

「PETMを気候変動における『圧迫』と見なし、恐竜を絶滅させた1000万年前の隕石衝突を『一撃』と呼ぶとしたら、現在われわれが直面している状況は圧迫というよりも一撃に近いだろう」と、カンプ氏は警告した。

この研究について、英国地質学会のブライアン・ラベル(Bryan Lovell)会長(英ケンブリッジ大教授)は、PETMでCO2の大規模放出が起きてから、地球が放出以前に近い環境に戻るまでには、10万~20万年の歳月がかかったと指摘している。

☆カテゴリー「地球環境問題・気候変動」

☆海面上昇シミュレーション Flood Maps あなたの街は何mの海面上昇で水没?

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★新しい気づきや考えるきっかけに出会えましたか?
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

原発事故が100%起こらないなら、今日から私も推進派 by 武田斉記 (日経ビジネスONLINE)

安全な会社は「人は悪気がなくても事故を起こす」と考える

武田 斉紀(たけだ・よしのり)
企業理念コンサルタント
ブライトサイド コーポレーション代表取締役社長

1986年東京大学卒、同年リクルート入社。人事部を経てHR事業部へ。大手から中小まであらゆる規模、あらゆる業種の企業を対象に、採用・組織作りやブランド構築を支援する。全社表彰、MVPほか各賞を受賞。その後マーケティングの新規事業立ち上げに参画、軌道に乗せて2002年に退職。期間限定でベンチャーの立ち上げに参画した後、2003年9月に企業理念の共有浸透を専門とするコンサルティング会社、ブライトサイド コーポレーション(正式名称ブライトサイド株式会社)を設立、現在に至る。


ある日、空から石が降ってきた
 
都会からそれほど離れていないある村で起こった話だ。台風が去った後、小さなお社(やしろ)があった場所に、真っ暗な穴が開いているのを住民たちが見つけた。

村人が穴に向かって「おーい、でてこーい」と叫んでみても反響がない。小さな石ころを投げても結果は同じ。そんなある日、一人の男が「この穴を私にくれたら、穴を埋めるだけでなく、別の場所にもっと立派なお社を建ててあげますよ」と言ってきた。彼は穴を村から譲り受けると会社を作り、都会で「原子炉のカスなどを捨てるのに、絶好ですよ」と宣伝して、電力会社と次々と契約した。

住民はちょっと心配したが、「数千年は絶対に地上に害は出ない」と説明されたこと、また利益の配分をもらうことで納得した。都会をつなぐ立派な道路が作られ、次々とトラックがやって来ては原子炉のカスを捨てていった。穴はいつまでたっても一杯にならないので、いらないものや都合の悪いものがどんどん捨てられた。都会では当時生産ばかりに熱心で、後始末に困っていたものが山ほどあったので、都会の住民たちは安心した。

それからずいぶんたったある日のことだ。建設中のビルの上で作業員がひと休みをしていたら、頭上から「おーい、でてこーい」という声がして、小さな石ころが降ってきた──。

ここまで読めば、「あれか」と思い当たる方も多いかもしれない。これは、ショートショートという短編で知られる作家、星新一さんの作品『おーい、でてこーい』の粗筋だ。

この作品が短編集として発表されたのはホームページによれば1961(昭和36)年。日本で最初の原子力発電が1963年に成功し、営業運転が開始されたのが1966年のことだから、まさに原子力黎明期のころだ。日本は高度成長期の真っ只中にあり、まだ公害問題さえも公になっておらず、エコ(エコロジー)や環境問題という言葉さえなかった。星さん(1997年に他界)の先見性には驚かされる。そして読み返すほどに、そら恐ろしさが増していくのだ。

半世紀50年がたった。今や原子力発電は、日本の発電量の約30%を占める一大産業となった。電源開発(東京都中央区)のリンク集を見るだけでも、多くの企業・団体がかかわっていることが分かる。日本は原子力発電設備では米国、フランスに次いで世界第3位、主要国の総発電量に占める原発の割合でも、フランス、韓国に次いで第3位に付ける原発大国になった。

私は先日、星さんの『おーい、でてこーい』が中学校の英語教材になっているのを見つけた。その瞬間、今回の原発事故を想起した。そして先人の思いを無駄にしないよう、私なりの視点から書いてみたいと思った。

ただし今回のテーマは「現時点での原子力発電の是非」についてだ。私の結論はタイトルの通り。「原発事故が今後100%起こらないと証明できるなら、今日から原発推進派になる」だ。でも万に1つでも起こる可能性があるなら推進派にはなれない。原発推進派である同盟国・米国や原発大国のフランスなどには、この問題において背を向けることになるが、自分と家族と国民の命には代えられない。

原発事故が万が一起こるならと書いたが、事故はこの日本で現在進行中だ。故郷を追われ、友人とも離れ離れになって、慣れない土地での生活を余儀なくされ、安住の地さえ見つかっていない人々がいる。原発の近くでは日々放射能におびえている人々がたくさんいる。子供たちは、長袖に帽子やマスク着用で学校に通い、教室では窓を閉め切っての学習を強いられている。外遊びも制限されているようだ。

そんな状態で、まだ推進しようとしている人がいる。彼ら自身とその家族がフクシマにいても、同じように推進しようと言えるのだろうか。答えがイエスならば、今すぐに地元の人たちと代わってあげてほしい。原発推進の話はいったん停止するべきだ。今後の話は、せめて事故が解決して、もう事故は100%起こらないと証明できてからではないのか。

原発事故はほかの事故とは全く“規模”が違う
 
東京電力が今回の地震や津波を想定できたかどうか、対策が十分であったかどうかが検証されている。補償を東電がするのか国がするのかという点では、全国民にとっても大きな関心事だ。しかし原発事故そのものにとっては、想定できたかどうかは問題ではない。今後も事故は起きるのか、それとも起きないのかだ。

テレビに登場する原子力の識者と言われる皆さん(ほとんどは推進派)は、津波は想定外だったとしたうえで、「○時間以内に電源が確保できていれば事故は防げた」「当初にこうした対応をしていたら事故にならなかったかもしれない」と主張する。今回来日して事故調査に当たったIAEA(国際原子力機関)は、津波に対する想定の甘さを指摘し、原子力安全・保安院の独立性を含めて安全対策が十分でなかったと指摘した。

私は報告書の内容に異議を唱えようというのではない。ただIAEAは核保有国と原発保有国および今後原発を検討している国から構成されていると聞く。つまり推進派だ。報告書の趣旨は、「日本で起こった原発事故を教訓としながら、原発を推進していこう」ということだ。

私はテレビに登場する識者にもIAEAにも質問したくてしょうがなかった。「ところでそうした手を打てば、原発事故は今後100%なくなるのでしょうか。99.9%ではなく100%ですよ」。

100%にこだわっているのには理由がある。原発事故が及ぼす危険性は、ほかのどんな事故とも全くレベルが違うからだ。自動車、鉄道、船、そして飛行機。それぞれの事故で亡くなられた方、ケガをされた方には大変失礼な言い回しになることをお許しいただきたいが、原発事故はそれらとは被害の規模が違う。原発のメリットを置いて言えば、生物兵器に近い。

生物兵器は人類を大量破壊するが、一気に広がらなければ対処法も考えられる。だが放射能はそうはいかない。福島第1原発事故で分かるように、いったん発生したらすぐには止められないし、発生した放射能は容易になくならない。元素によっては何十年、何百年と被害は続く。しかも大気によって運ばれて国土の広範囲に降り注ぎ、さらには近隣諸国だけでなく世界を巡る。最悪の場合は、地球上からすべての生き物が消えてしまう可能性だってある。

そんなレベルの事故が、人類史上においてかつてあっただろうか。一度でも起きてしまうと、被害の大きさでいえば明らかに“規模”が違う。

いやそれでも、原発にも希望はある。事故を100%防げればいいのだ。リスクを除けば、原発が国民や世界の人々にとってメリットがあることはよく分かっているのだから。

電気料金の国際比較にはさまざまなデータが流れている。某テレビ番組では日本のそれは世界一高いと言っていたが、イタリアに次いで高いというデータもあれば、政府の資源エネルギー庁は『エネルギー白書2010』の中で(ページ内一番下)、日本の電気料金は国際的に見て高くないと主張する。誰が本当のことを言って、誰が国民を欺こうとしているのか。少なくとも一国民には、世界的に見ても安心安全な水が安く手に入るほどに電気料金が安いという実感はない。

原発はCO2(二酸化炭素)をあまり出さないから環境にも優しいというが、それは発電中だけの話らしい。核燃料を作る、使用後の燃料を処理する、また原発を廃炉にするには少なからぬCO2が発生するようだ。そう考えれば太陽エネルギーなどの新エネルギーの出番だが、原発推進派の人は「だって新エネルギーでは原発の代替ができないじゃないか。だから原発が必要なのだ」と訴える。

確かに“現時点では”そうなのかもしれない。でもだからといって、自分と家族を命の危機にはさらせない。

人間は100%ミスをする、だから原発事故はなくならない
 
これまで事故のなかったものが、世の中に存在するだろうか。

先ほど挙げた自動車、鉄道、船、飛行機。いずれを取っても事故はゼロではない。どんな対策を練っても、永久にゼロにすることは不可能だ。それらの事故は一定の割合で確実に発生している。

事故はそれだけではない。ユッケ肉事件などに象徴されるように、食の分野でもなくならない。季節になれば毎年、フグ中毒やキノコ中毒で死者が出たとニュースが流れる。電気製品や機械の使用を誤っての事故など、意図しなくてもミスによる事故は身の回りにあふれている。

比較的最近に登場したコンピューターではどうだろう。ホームページの更新をしたことがある人なら分かるはずだ。専用のHTML言語を正しくいじったはずなのに表示されない。あらゆる可能性を試したが、やはり表示されない。「こいつ(コンピューター)、絶対におかしいよ!」と毒づいてみるが、結局は人間の負けだ。コンピューターはバカ正直で人間様の言われた通り、素直に動いている。どこかに人間による入力ミスがあるから表示されないのだ。

震災後に日本を代表するメガバンク、みずほフィナンシャルグループがシステムトラブルを起こし、トップが交代するに及んだ。会社側は義援金の申し込みが想定を超えていたと説明したが、少なくともほかのメガバンクでは起こっていない。想定するのも人間、あらかじめ準備をしておくのも人間だ。そこでミスが起こっていて、トラブルにつながっている。さらには事後の対応ミスがトラブルを拡大した。すべて人間のせいだ。

私は以前に勤めていた会社で、コンピューターシステムとマーケティングを融合した新ビジネスを立ち上げた経験がある。その際にもミスが頻発した。立ち上げ期で慣れていなかったのもあるが、ミスが起こるたびにクライアントに頭を下げ続けながら私は1つの確信を得た。それは「ミスや事故はゼロにはできない前提で対処する」ということだった。原因は明らかだった。「人間がかかわっているから」だ。

「あの人は完璧だなあ」と思える人に巡り合ったことはあるが、「100%ミスをしたことがない人に出会ったことがあるか」と聞かれたら、答えはノーだ。人間はミスをする生き物だ。そして、世の中の事故は、自然“災害”を除けばすべて人間が引き起こしているのだ。

私が何度も取り上げている、JR西日本が引き起こした福知山線の脱線事故(2005年)の例が分かりやすい。事故後に同社は反省してATS(自動列車停止装置)というシステムを導入したが、ミスはなくならなかった。システムのスイッチを切ってしまう人や無視する人がいたからだ。

完璧なサイボーグを作ればいい。それを一体誰が作るの? 人間? どんなに100%完璧なシステムを用意できたとしても、人間がボタンを押す限りミスと事故はなくならない。かといって人間がボタンを押さない限りはコンピューターも動かない。結局世の中からミスと事故はなくならないのだ。

だとすれば企業はどう対処すればいいのだろう。

震災直後の東京ディズニーリゾート(TDR)を取り上げたコラム『3.11もブレなかった東京ディズニーランドの優先順位』では、同社の危機管理の高さをご紹介した。TDRはこれまで直接死亡につながるような事故を起こしていないかもしれないが、海外のディズニーリゾートでは起こっているし、「今後もゼロです」とは言い切れない。

そのことがよく分かっているからこそ、TDRは安全第一を単に看板として掲げるのではなく、9割を占めるアルバイトも含めた全員でその重要性を共有している。そのうえで歯を食いしばって、全員で努力し続けているからこそ起きていないだけだ。ケガや食品など、それ以外の安全にかかわる事故は起きている。そのたびにTDRは安全のためのさまざまな施策、システム、社員教育を重ねているが、それでもミスや事故はゼロにはならない。いわんや他の企業をや、だ。

同社に限らず、安全対策や危機管理がしっかりとできている企業には2つの共通点がある。

そもそも誰のために原発でしたっけ?
 
1つは既にお話したが、「人間はミスをするものだ」という前提に立って、あらゆる対策を徹底的に講じていることだ。安全対策や危機管理がしっかりとできている企業は、「ミスや事故は100%なくしたいが、ゼロにはならない」ということをよく分かっている。だからこそ千に1つ、万に1つでも発生しないようにと、日々努力を積み重ねているのだ。

安全対策や危機管理がしっかりとできている企業に共通するもう1つは、従業員を性悪説で見ていないことだ。東京ディズニーリゾートの取り組みはこの点でもお手本となる。彼らは「人間はたとえ悪気などなくとも、事故を起こす存在である」と考える。だからこそ、それを前提として、安全のためのさまざまな施策、システム、社員教育を二重、三重に用意している。安全を守ろうとする人の力を最大限に生かしながら、それでもミスや事故を起こしてしまう人間をカバーしている。

にもかかわらずミスや事故はゼロにはならない。

安全面以外で、もう1つ分かっていることがある。経済的に見て、“現時点で”原発は明らかに採算に合っていない。発電の原価が安いからと始めたのかもしれないが、今回発生している被害と賠償額を考えた時、採算は果たしてプラスだろうか。日本経済研究センター(東京都千代田区)の試算によれば、福島第1原発の事故による廃炉や避難者への所得補償費用は約6兆~20兆円に上るという。

間接的な被害まで含めるといくらになるのだろう。東電が普通の企業ならとっくにつぶれている。つぶれないのは、「公共性の高い独占企業」で、最後は政府が面倒を見てくれる関係でありながら収益力が高い。つまりこれまでにもずいぶんと儲けているからだ。

東電をはじめとする電力各社は、全国や地域の企業の収益ベスト5か10くらいに名を連ねる“優良企業”の常連だ。そんなに国民から電気料金をむしり取って、幹部の待遇と社員の給与と福利厚生、そしてCM代や政治活動などにお金に回す必要があるのだろうか。

独占企業を許すなら、必要以上の利益を上げないように最初から政府の管理下に置いて、国民が監視すればいい。今より電気料金も下がるだろう。あるいは一定のルールの下に自由化するかのどちらかだ。競争のない社会に発展はない。みんな分かっているのに、どうして電力会社の現状を維持しよう、原発を維持しようという人が絶えないのか。どんなメリットがあるのか? 国民のため? 私には理解できない。

人間は必ずミスや事故を起こす。それでも自動車、飛行機などを手放すことはできない。フグもキノコも食べることをやめない。事故の確率を思えば、デメリットよりもメリットの方を強く感じているからだ。それらは原発とは違って、故郷に人を住めなくしたり、地球や人類を滅亡させるほどの力はないからだ。

「原発はなくせないでしょ」が議論の前提になっている人に言いたい。発想を変えて、「原発をゼロにして人類が生きていくにはどうすればいいかを考えようよ」と。原発にそれなりに頼っている国は、最初は苦しいだろう。しかし原発率30%の日本は、この夏に向けて電力25%削減を達成しようとしているではないか。日本人は1つにまとまれるし、我慢もできる。知恵と努力もある。

「今年はいいかもしれないが、今後の需要を考えれば原発は必須だ。なかったら経済発展できないぞ」と脅されるかもしれないな。そうなると世界に冠たる日本の技術力の出番だ。日本人にはオリジナリティーが足りないと言われるが、世界を驚かせた経験はたくさんある。地場のメーカーには、技術力で世界を席巻している企業も多い。さらに小さな工夫やアイデア、改善技術、チーム力で競わせたら日本企業は世界で一級だ。

「原発はなくせないでしょ」という固定観念を捨てて、「原発をゼロにして人類が生きていく方法を考えようよ」と提案したい。ドイツやスイスは既に歩き始めている。主要8カ国(G8)首脳会議の参加国の中でも一人じゃない。自国で停止するだけではなくならない地球規模のリスクを、ドイツと組んで働きかけていけばいい。日本が世界をリードできるチャンスだ。

自民党の皆さんには、原発行政を推進してきた張本人としてまずは反省会を開いたうえで、力を貸してほしい。民主党の皆さんには、原発事故の可能性がゼロにならない限り、“勇気を持って”廃止すると英断してほしい。どちらの党も一番大切なものが「国民の命と安全」だと思ってくれているのであれば。また原発で潤ってきた人たちは、発電自体がなくなるわけではないのだから、「原子力とは技術が違う」などと言わずに、新エネルギー分野で活躍してほしい。

原発が存在し、人間がかかわっている限り、ミスから重大事故が起こるリスクはゼロにはならない。原発による発電率がこれ以上高くなっていくと、後で「やっぱりやめておけばよかった」は通用しなくなるだろう。今大人たちが、大声を上げるしか道はないのだ。未来を担う子供たちの頭上に、放射線を帯びた石を降らせないために。

★<お断り>サブタイトルでも宣言しましたが、私は「原発事故が100%起こらない」と証明できたら、喜んで原発推進派に変わります。ブレているって? いえ全然ブレていませんよ。私の判断規準は「本当に日本国民と世界の人々のためになることかどうか」ですから。


◇10分でわかる原発震災のお話

◇放射能で首都圏消滅

◇シミュレーション「放射能は首都圏を直撃する!」

◇日本の原発と地震

◇東海地震と浜岡原発

◇原発震災と緊急避難

~石橋教授、茂木名誉教授の警告~ 日本地震学界の権威が怒りの告発!

■「迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である」

■「浜岡原発は即刻停止せよ」-元地震予知連会長が怒りの告発

◇原発震災が起こったら・避難の手引き

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

★有意義な情報/記事を見つけたと思われた方は、クリックをお願いします!
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/02

世界の食糧供給システム、見直しが必要 オックスファム

【6月1日 AFP】国際NGOオックスファム(Oxfam)は5月31日公表したレポート「Growing a Better Future」で、世界の食糧供給システムの徹底的な見直しが必要だと訴えた。オックスファムによると、人口増加や気候変動の影響による収穫高の減少で、飢餓人口は今後数十年で数百万人増える見通しだという。

オックスファムは、「食糧供給システムの崩壊」により、一部の主食となる食糧の価格が2030年までに2倍超に上昇し、収入の80%程度を食費に充てる貧困層が打撃を受けるとしている。現時点で飢餓人口は約9億人だが、「パーフェクトストーム」(最悪の事態)が起きた場合には、さらに増える恐れがあるという。

世界の人口は2050年までに現在の69億人から3分の1増加し、91億人に達するとされている。成長著しい国々の経済発展を背景に、食糧需要は70%も増える見通しだ。

同時に、干ばつや洪水などの被害を受けて作物収穫量が減少するなど、気候変動による影響が顕在化し始めると予想されている。オックスファムによると、トウモロコシなど主食の価格はすでに過去最高の水準に達したが、今後20年で価格はさらに2倍超、上昇する見通しだという。

オックスファムはこうした事態の対応策として、水などのムダ遣いをなくすことや、持続可能な作物栽培の促進を挙げている。

レポートは、オックスファムが45カ国で実施する食糧改革キャンペーンにあわせて作成されたもの。キャンペーンには、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)前大統領や南アフリカのノーベル平和賞受賞者、デズモンド・ツツ(Desmond Tutu)氏、米女優スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)さんなど各界の大物が支援している。

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★いい情報に出会えたと思われた方は、Click me!人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

世界の富の約4割を1%の「億万長者世帯」が保有、米調査

【6月1日 AFP】 世界の世帯数のわずか1%程度に過ぎない「億万長者世帯」が、世界の富の約4割を保有し、国際的不況の中で貧富の格差はさらに広がりつつある──。コンサルティング大手のボストンコンサルティンググループ(Boston Consulting Group)が5月31日に発表した2010年度の世界の資産などに関するレポートで、このような実態が示された。

金融資産100万ドル(約8100万円)以上を保有する「億万長者世帯」の数は前年比で12%増え、この結果、億万長者世帯が世界の家計金融資産を保有する割合も、2009年調査の37%から39%に増えた。

国別に見ると、米国は国際金融危機の震源地だったにもかかわらず、億万長者世帯数は群を抜いており、前年比1.3%増の520万世帯と世界で最も多かった。2番目に富裕世帯が多いのは日本で153万世帯、3位が中国で111万世帯だった。

アジアではシンガポールを始めとする新興経済国の成長も目立ち、世界の富を保有するアジア地域の割合は前年比2.9%増だった。

◆社会的不平等・貧富の格差

◆生き方・人道・規範・倫理

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★いい情報に出会えたと思われた方は、Click me!人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/01

男性への育児休業割り当て、12週間へ延長の公算 ノルウェー

【5月31日 AFP】 ノルウェーで法律に基づき取得できる育児休業のうち、男性に割り当てられる期間を現行の10週間から12週間に延長する法律の改正案が審議されている。

ノルウェーはすでに世界で最も長い育児休業を男性が取得できる国だが、改正案が議会を通過することは確実視されている。可決された場合、7月1日から施行される。

改正案によると子どもが生まれた場合、両親には、普段の賃金の100%(金額に上限あり)にあたる給付金を国から受けながら計47週間まで、あるいは賃金の80%にあたる給付金を受けながら計57週間まで育児休業をとる権利が与えられる。妻と夫の育児休業期間の合計を夫婦でどう振り分けるかは自由だが、現行で10週間、改正後で12週間は必ず男性が取るものとされる。

ノルウェーの中道左派政権は2013年の任期満了までにさらに男性分の育児休業を14週間に延長したいとしている。

ノルウェーは世界でも男女同権が進んでいる国とみなされているが、今回の法律改正は子育てを担おうとする父親のさらなる後押しとなるだろう。ノルウェーでも女性が育児で長期休業をとることは多く、女性が仕事をする上で不利になっていた。このような職場での性差を取り除くことも狙いだ。

同国の民放テレビ局TV2によると、1993年に4週間で始まった育児休業の一定期間を父親に割り当てる制度は、非常に有効に機能しているという。この制度の導入前は育児休業を取る男性は3%に満たなかったが、今では90%前後の男性が育児休業をパートナーと分かち合っているという。

☆カテゴリー「医学・医療・健康・病気」

☆持続可能な社会と金融CSR【HP版】はこちら♪

☆「環境と金融」HP開設6周年を迎えて

★新しい気づきや考えるきっかけに出会えましたか?
人気blogランキングへ
Blog_ranking_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年5月 | トップページ