メキシコと米国での豚インフルエンザ感染を受け、世界保健機関(WHO)は25日開いた緊急委員会で、「国際的に懸念される緊急事態」だと認定し、各国に警戒を呼びかけた。ただし、感染警告レベルを引き上げる決定は先送りした。一方、米ニューヨーク市やニュージーランドなどでも新たに感染を疑わせる例が報じられ、事態は地理的に飛び火する様相を呈しつつある。
WHOの発表によると、緊急委員会は、現状は疑問点がなお多いとしながらも、感染症阻止のための国際法上の枠組み「国際保健規則」に基づく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」だとの点で一致。WHOのチャン事務局長はそれを受けて今回の状況を緊急事態と認定するとともに「インフルエンザ様疾患や重い肺炎が、通常みられないような形で発生していないか、すべての国は監視を強化して欲しい」と要請した。
だが緊急委員会は、現在の警告レベルを引き上げる議論については「さらに情報が必要だ」と、決定を保留した。警告レベルは6段階分類で、現在は、下から3番目の「人から人への感染がないか、極めて限定的」なフェーズ3。これを「人から人への感染が明らか」というフェーズ4に引き上げるかが問題となる。
一方、最初の発生国メキシコのコルドバ保健相は25日午後の記者会見で、メキシコでの感染が疑われる死者は前日から13人増え、81人に達したと発表した。地元メディアが報じた。インフルエンザの症状を訴える患者は1324人に上っている。
また、米疾病対策センター(CDC)が25日、感染者を新たに3人確認し、米国内での感染確認は計11人になった。ニューヨーク市東部クイーンズ地区の私立高校で生徒約100人がインフルエンザに似た症状を訴え、そのうち8人が、検査でA型インフルエンザの陽性反応が出て、豚インフルエンザに感染した疑いがあることもわかった。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、生徒の一部は最近、メキシコに旅行していたとの情報がある。検出されたウイルスは、既知のヒト型と違うタイプだという。
ただし、米国での感染または疑いがある例はいずれも比較的、症状は軽い。豚と接触した形跡はなく「人から人」感染が起きた可能性が高い。
また、ニュージーランドからの報道によると、同国のライオール保健相は26日、メキシコ旅行から帰国した高校生10人がやはりA型インフルエンザの陽性反応を示し、豚インフルに感染した疑いがあるとの見方を示した。ほとんどの患者が回復途上で、深刻な症状ではないとしている。
(朝日 4/26)
◇WHO事務局長、豚インフル流行「深刻な状況」 パンデミックの危険性も指摘
【4月25日 AFP】世界保健機関(World Health Organisation、WHO)のマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は25日、メキシコで人から人へ感染し60人の死者を出した豚インフルエンザの流行について、「深刻な状況」で「パンデミック(爆発的流行)の潜在力がある」と警告した。
WHOのチャン事務局長は電話会見で、メキシコと米国で報告されている感染は「新たなウィルスが原因」と述べ、「深刻な状況であり、慎重な観察を続ける必要がある」と語った。
また、この後の状況については「予測できない」と述べ、各国に「警戒を強めるよう」求めた。
チャン事務局長は、「このウィルスは、明らかにパンデミックの潜在力を持っている」と語った。
◇WHOが新型インフルエンザで警告、米国では新たな感染者
[メキシコ市 25日 ロイター] メキシコで81人が死亡したとみられる豚インフルエンザへの感染が、世界的に流行する可能性がある。米国でも感染が拡大しているとみられ、世界保健機関(WHO)が25日、各国に警戒を促した。
最も死者が多いのは、2000万人の人口を抱えるメキシコの首都メキシコ市。当局は徹底したウイルス対策を取るとして、必要に応じて症状の出た人を隔離するとしている。
米ニューヨーク市当局は、豚インフルエンザとみられるA型インフルエンザに市内の8人の児童が感染したと明らかにした。一方、カンザス州では2人、メキシコ国境に近いカリフォルニア州内でも7人の感染が報告され、米国内での感染確認事例はこれまで11件に上っている。
WHOは今回のウイルス発生を「公共衛生上の国際的な懸念」とし、世界的流行を引き起こす可能性があるとの見解を示した。
前回発生した世界的なインフルエンザの流行は1968年の香港風邪で、世界中で100万人が死亡した。
新型インフルエンザが世界的に広がれば、金融危機で既にここ数十年で最悪の景気後退に直面している世界経済にさらなる打撃を与えることになりかねない。
WHOはすべての国に、インフルエンザや深刻な肺炎のような症状の異常発生に対して警戒を強めるよう促している。
また、メキシコのカルデロン大統領は非常事態宣言を発令し、病人の検査を実施したり、隔離することができる特別な権限を政府に与えた。
メキシコ当局はこの新型ウイルスが原因とみられる死者が81人に上るとしている。また、全国で1000人以上に感染の疑いがあると報告されている。死亡した人の多くは25歳から45歳までで、過去の世界的な流行病と同様に、健康な大人に高い死亡率がみられることが警戒されている。
WHOによると、メキシコの患者12人から検出されたウイルスは、カリフォルニア州とテキサス州で8人が感染したウイルスH1N1型と遺伝学的に同種の新型の豚インフルエンザとみられる。米国で感染した患者はすべて回復しているという。
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◆米国政府・パンデミックインフルエンザ・ホームページ
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★国立感染症研究所・感染症情報センター
★「新型インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)」(厚生労働省)
★新型インフルエンザに関するQ&A(厚生労働省)
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